『紙包深漬仕込み』は当店独自の無添加での製造方法
無添加の漬け床による製造では、化学調味料を使用した場合に比べてどうしても手間と時間がかかります。
当店独自の無添加製法『紙包深漬仕込み』では、魚の切り身をまる一昼夜漬け床に漬け置いた後、ひと切れごとに奉書紙に包み、更にもうひと晩の熟成を重ねるという従来の倍の時間と手間をかけ、ゆっくりと熟成させています。
ひと切れごとに奉書紙で包むことにより、魚の身から出る余分なドリップ(水分)を吸収しつつ、漬け床の味をしっかりと浸み込ませる事ができます。
この段階を経た後に真空パックを施して美味しさを閉じ込める製造方法が『紙包深漬仕込み』です。
大石商店ONLINEの製品は、全ての素材を厳選し、手間と時間を惜しまず、丁寧に作り上げたお品です。
是非、食卓の一品にお添え下さい。
漬け床について
酒粕
神奈川県海老名市の酒造メーカー『泉橋酒造』から仕入れた練り粕を使用しています。
なお、同社は酒米を仕入れるのではなく自ら栽培する全国でも希少な栽培酒造です。
味噌
酒粕と同じ酒造メーカーが作る吟醸味噌を使用しています。
原料の大豆は貴重な在来品種である「津久井在来大豆」、また米も自営田および契約農家栽培の神奈川県海老名産の米から醸造された味噌です。
塩麹
神奈川県下の味噌メーカー『日本味噌株式会社』製の無添加塩麹を使用しています。
酒
天然由来の20種類以上のアミノ酸、ビタミンやミネラルも豊富に含む寒仕込み醸造の料理酒を使用しています。
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みりん
伝統的製法で作られた有機三州みりんを使用しています。
天然塩
純国産の伊豆大島『海の精』を使用しています。
素材の魚について
白かじき(白皮かじき)
かじき類の仲間にはマカジキ科に属するマカジキ、クロカジキ、シロカジキ、バショウカジキなど3属11種と、メカジキ科のメカジキがいます。
一般にカジキ類は引き締まった身質とあっさりした淡泊な味わいが特徴です。脂肪の含有率は平均して3%前後と低く、鶏肉のササミに近いと評されることもあります。カジキ類のなかで食材として上質とされるのはマカジキとシロカジキですが、シロカジキは漁獲量が少なく、脂がのった上質のものとなると時季的にも数量的にも限られ、その入手はさらに困難です。
大石商店では脂ののった上質の個体を選び、さらにサク採りにおいても上質の部位のみを厳選して漬け込んだものをお届けしています。
シロカジキは従来、白皮カジキという名前でも呼ばれていました。これは船上に揚げられた後、この魚の体表が見るみるうちに灰白色に変化することに由来しています。一方、英語ではBlack marlinと呼ばれていて、それはシロカジキが海中を泳いでいるときの体色が鈍い黒色を呈していることに由来しています。 魚に対する文化的な相違、あるいは人々のこの魚との接し方、距離感の違いが垣間見えるようで興味深い話です。
因みにクロカジキ(黒皮かじき)はBlue marlinと呼ばれています。
メロ
メロが日本の食卓に登場してきのは、北洋漁業の衰退で銀だらの水揚げ高が落ち込んだ1980年代以降でした。「銀むつ」(現在この名称は使えない)の呼び名で親しまれ、馴染み、人気ともに高かった魚ですが、近年では食材としての高い評価から日本以外でも需要が急増しています。 また、水産資源保護の観点から漁獲量の厳しい制限があって市場では品薄状態で価格も急騰、今では堂々たる高級魚のひとつです。
メロの標準和名にはマゼランアイナメが付けられていますが、実はアイナメの仲間ではありません。アイナメがカサゴ目なのに対しメロはスズキ目のノトセニア科に属しています。 生息地域はチリ南部からアルゼンチン沿岸にかけてのパタゴニア海域、南極周辺、ニュージーランド周辺に分布しています。
下のイラストは体長が30~40cm程度の若魚と思われますが、メロはノトセニア科の仲間では大型の魚で通常の入荷では体長70cm前後、なかには2m以上の個体も報告されています。
銀だらの後継食用魚として登場してきただけあって、銀だら以上の脂ののりが特徴です。加えて上品な旨味に富むメロの味わいは現代日本人の嗜好によくあっており、アイナメの名を冠せられた由縁が想像できます。
銀だら
銀だらが食用魚として認知されたのは昭和30年代の半ば頃。北洋の底びき網漁で捕獲されたこの魚が日本の食卓に登場するようになって以降のことで、それ以前は船上で投棄されていたといいます。
今でこそ「なんて勿体ないこと」と思われますが、銀だらがまだ漁獲目的でなかった当時では、網の中に紛れ込んだ見慣れない魚(食べたことのない魚)に過ぎず、商品価値を見いだせなかったのでしょう。 水揚げされた銀だらが真っ黒で多少ヌルヌルしており、どことなく気味悪い印象も手伝っていたのかもしれません。
事情が一変したのは日本にこの魚が持ち込まれて間もなくでした。上質な白身に加えて豊かな脂肪分を持つこの魚は「銀だら」という命名とともに食用として急速に普及。瞬く間に北洋の魚の代名詞とされる食用魚となりました。
銀だらは米国でもBlack cod(黒たら)と通称されています。タラの近縁と思われがちのようですが、アイナメやホッケと同じカサゴ目に属する魚です。
北洋漁業が衰退した1980年代以降は、高級魚として輸入商材のひとつとなり現在に至っています。
当店では、アラスカ産のものを粕漬けにしてお届けしています。
キングサーモン
キングサーモンは、全長1.5m、重さ50kgを越える個体の報告もあるサケ属最大の魚種として知られています(市場では1m前後のものが多い)。 また身に含まれる脂肪分がサケ・マス類中でもっとも豊かで味も良く食用としての人気の高い魚種ですが、反面漁獲量が少ないために高価な食材でもあり、その加工品にはスモークサーモンなどの高級品が多い魚です。
キングサーモンは北太平洋の広い範囲を回遊しているため日本近海でも漁獲されることもあり、和名のひとつにマスノスケ(鱒の大将の意味との説もある)がありますが、河川への遡上では北海道で若干例の報告がある程度で、大部分はカムチャッカ半島から北米大陸にかけての地域の大河川とされています。
紅鮭
一般に身色の赤みが強いものほど美味とされているサケ・マス類のなかでも、紅鮭はその鮮やかな深紅色から縁起ものとしても重宝されるほどで、その美しい身色とともに身質・味も質が高く、サケ・マス類中最高ランクに位置づけられています。 また養殖技術が進歩した今日でも養殖が実現していない魚種であり、まさに自然だけが育むことのできる味覚の宝石といえる存在でしょう。
生活サイクルはバラエティに富んでいて、幼魚期の淡水域での生活期間は1~3年、降海後の海洋生活期間は1~4年といずれにも数年の幅があります。 さらに母川に回帰した後も排卵までに1ヶ月近くの長期の準備期間があり、こうした生態学的な特徴が養殖や資源増殖を困難にしている理由なのでしょう。
紅鮭はサケ属の中でもっとも高温に弱い魚種で、カムチャッカから、アラスカ、カナダ、コロンビア川に分布、日本では北海道東部で若干数の回帰が報告されているぐらいです。 なお、紅鮭の陸封型であるヒメマスが北海道の阿寒湖、チミケップ湖などに棲息しています。
商品の保存について
大石商店の味噌漬け・粕漬けは生ものです。冷凍状態で出荷いたしておりますが、いわゆる冷凍食品ではございません。
商品がお手元に届きましたら再凍結はせずに冷蔵庫の鮮魚室、もしくはチルド室にて5°C以下で保存し、お早めにお召し上がりください。
大石商店での漬け魚づくり工程では、魚の下処理後、切り身に整形し、素材によっては塩漬工程を経て味噌床や粕床に漬け込んでいます。
漬け込み熟成期間は魚種によって多少の違いはありますが、概ね2日間前後としております。
切り身全体に漬け床の風味が充分に滲透したのを確認してから包装します。包装は切り身ごとの個別真空パックにし、-35度Cに冷却して以降の熟成を停止状態にしてから出荷しています。
お客さまのお手元に届きましたら解凍して焼くだけで美味しく召し上がっていただけます。なお、切り身に付着した味噌や粕はそのままで焼いていただいても美味しくお召し上がりいただけます。気になる場合には軽く拭い取ってください。
焼き方について
漬け魚を美味しく焼き上げるには、ご家庭のガスコンロに付属する魚焼き用グリルのご使用がお薦めです。
魚を入れる前にグリル庫内を十分に予熱してください。魚を入れた後は、火力を中火程度に調節して概ね5~6分を目処に焼き上げるようにしてください。
この段階でまだ焼き目・焦げ目が足りない場合は、そのまま焼き時間を延長するのではなく火力を上げて表面に焦げ目を付けるようにしてください。
焼き時間が長くなるほどふっくら感が損なわれてしまいます。
焼網に貼り付く場合は、アルミホイルを敷くと身離れがよくなります。
またトースターでもきれいに焼き上がります(写真右)。グリル同様、庫内を充分に予熱し、温度は高めにして(250度Cほど)、概ね5~6分をメドに焼き上げてください。